応用美術品の著作物性

1 はじめに

 

今回は、応用美術の著作物性という問題を取り上げたいと思います。

 

応用美術とは、純粋な芸術作品である純粋美術とは異なり、美術や美術的感覚を何らかの形で実用品に応用した美術品のことです。

 

この応用美術が著作権法によってどこまで保護されるのかについては、問題があるところです。

 

今回は、他人が作った仏壇彫刻を、自分の展示販売する仏壇の装飾に無断で利用したことが著作権の侵害であると判断された事案を例に、応用美術における著作権の判断基準を見てみましょう。

 

2 事案の概要

Aさんはもともとシリコンやプラスチックなどを使って、仏壇内部の装飾である仏壇彫刻を作成して、販売してきました。

いわば大量生産品です。

Bさんは、このAさんの作成販売した仏壇彫刻を購入し、その彫刻をそのままあるいは一部修正して、同じように仏壇彫刻を作成し、展示販売しました。

Aさんは、著作権を侵害されたとして、Bさんに対して販売の差止めと、損害賠償を求めました。

 

3 判断

応用美術品の場合、著作権が成立するためには創作的な思想または感情の表現のほかに、「美術性があること」が必要とされています。

以下では「応用美術の美術性」について解説します。

 

判例は、応用美術を、

① 純粋美術をそのまま利用した実用品

② 純粋美術の技法を用いた一品製作(いわゆる美術工芸品)

③ 純粋美術の技法や感覚を用いて大量生産した実用品(いわゆる大量生産品)

の3パターンに分けました。

①、②は当然美術性が認められるので著作権法による保護を受けますが、問題は③です。

 

本件の仏壇彫刻は③でしたので、このような場合にまで美術性が認められるのか問題となりましたが、

判例は、「作品が純粋美術に該当するような高度の美的表現を有しているかどうか」という基準で判断しました。

 

4  仏壇彫刻は著作権による保護を受ける

裁判所は、本件の仏壇彫刻について、

「その紋様や形状は、仏教美術の一端をうかがわせ、単なる仏壇の付加物とは言えずそれ自体で美的鑑賞の対象となりうる彫刻と言える」

と評価して、だから、

「美的表現を目的とする純粋美術と同じ、高度の美的表現と評価できる」

として、美術性を認めました。

 

5 まとめ

以上のように、応用美術は、「純粋美術と同じ高度な美的表現」があるかどうかがポイントになります。

 

図案・デザインなども仏壇彫刻と同様、高度の美的表現があると認められれば、著作権の保護の対象になります。

美術性が認められればが著作権法による保護を受けられますし、なければ単に工業所有権として意匠法による保護しか受けられなくなります。

 

参考にしてみてください。